芸術分野の労働者にコロナ禍での転職を勧めるかのような発言が広まったイギリス財務相にDrum 'n' Bassプロデューサーも怒り露わ

イギリス財務大臣Rishi Sunakは今月ITV Newsの取材の最中、"as in all walks of life everyone's having to adapt.(全ての人生の歩みの様に誰もが適応しなければなりません)"と発言。

更に、"everyone is having to find ways to adapt and adjust to the new reality.(誰もが新しい現実に適応し、適応する方法を見つけなければなりません。)"といった発言もあり、これらが芸術分野での労働者達を特別に限定し自助努力を求めていると解釈され猛反発を受けています。

Covid: Rishi Sunak says people in 'all walks of life' are having to adapt for employment | ITV News

ITV Newsの記事では後にこの発言が特にミュージシャンや芸術分野の労働者に限ったものではなかったと訂正され、Rishi Sunak自身もTwitterアカウントで発言が不正確に伝わっていることを説明しトランスクリプトを公開。更にイギリス政府の打ち出す1.57億ポンドのイギリス文化救済基金を引用しこの分野への政府支援の手厚さを強調しています。

しかし、彼の発言がイギリスのショービジネスを軽んじるよう捉えることが出来るものだったことや先行きの不透明さもあり、ミュージシャンらの怒りは収まっていません。

元The SmithsのJohnny Marrは自身のTwitterアカウントで「これがこの国を運営している人間だ。ロックダウン中に映画、テレビ番組、Netflixなどが無かったらどうだった?初めから音楽、絵画、芸術は在ったんだ。馬鹿め。」と厳しく批判。

元OasisのLiam Gallagher「政府の馬鹿がアートや芸術関係者に再教育を受けて違った仕事に就いてお前らの様なクソ野郎になれと言っているけど、いい加減にしろよ」とRishi Sunakを罵っています。

この大臣発言には多数のイギリス人Drum 'n' Bassプロデューサー / DJも反応。元々Drum 'n' Bassシーンでは前述のイギリス文化救済基金がエレクトロニックミュージックを対象に含めているのか否か不明瞭な部分に抗議しナイトクラブやダンスミュージックイベントと共に#LetUSDanceキャンペーンに参加し公的な支援を行うよう政府に要求していたこともあり、自らのコミュニティを軽んじられるような発言には敏感だったことから蓄積した怒りが一斉に噴き出したということは理解出来ます。

先月イギリスの音楽産業界最大の労働組合Musicians' Unionが発表した「イギリスのプロミュージシャンの1/3がキャリアを棄てようとしている」というアンケート結果からも分かるようにイギリスの音楽産業への打撃は非常に深刻です。