2019年の上半期が終了し、本期間には沢山のDrum 'n' Bassアルバムがリリースされました。本記事ではこの半年間にリリースされたアルバムの中から特にお勧め出来る5枚を選定しました。もし聴き逃している作品がありましたらこの機会に耳を傾けてみては如何でしょうか。
なお、同趣旨の過去記事はこちらからご覧頂けますので是非お役立て下さい。
今年上半期最も注目すべきアルバムはChase & Statusがリリースした'RTRN II JUNGLE'です。昨年のアルバム制作発表から半年以上を経てリリースされた本作はジャマイカでのレコーディングセッションで得たDubやReggaeといった要素を多分に含んだ素材を用いてDrum 'n' Bassのルーツへの本格的な回帰を試みたJungleアルバムでした。
2003年に結成したChase & Statusはデビューアルバム'More than Alot'期にUK Single Chartで3度1位を獲得したことで一躍Drum 'n' Bassシーンでも注目の的となりました。しかし、それ以降はより商業的な成功を意識した楽曲のリリースが多くなり、RAM Recordsを離れUniversal Music傘下のMercury Records, Virgin EMI Recordsでの活動に移行してからはDrum 'n' Bass以外の音楽ジャンルを積極的に制作するように変化した為シーンのファンからの支持は失っていきました。
そして活動開始から15年以上が経過した今、ベテランとなった彼等はルーツへの回帰と共にDrum 'n' Bassシーンに帰ってきました。完成したアルバムは嘗て彼等のDrum 'n' Bassトラックに感銘を受けたファンを決して失望させないアンダーグラウンドな空気を纏った傑作です。
また同時期に"Jungle"というテーマを掲げて制作されたアルバムがS.P.Yの'Dubplate Style'です。アルバムタイトルの"Dubplate Style"はS.P.Yが2018年に「Jungleのアルバムを作る」というアイディアを持ったことから始まった一連のプロジェクトで、同名のイベントも"S.P.Y presents Dubplate Style"として数回開催されました。イベントのコンセプトは必ずしもJungleに限定したものではありませんでしたがS.P.Y以外のDJもJungleに焦点を合わせたDJ Setを披露するなどDubplate StyleはS.P.Y個人の作品としてのみならずJungleの再評価にも貢献しました。
'Back To Basics'や'Alone In The Dark EP'シリーズなどアンダーグラウンドなスタイルで高い評価を得てきた彼がDrum 'n' Bassのルーツへ立ち返りながら未来を見据えた結果、Lo-Fiなドラムと幻想的なパッド、そして荒々しいReeseベースが交錯する高水準のJungleアルバムを生み出すことに成功しました。
この他には、LenzmanがMetalheadzからアルバム'Bobby'をリリース。従来のヘビーなNeurofunkスタイルを維持しながらソウルフルなボーカルなども積極的に取り入れたProlixの'Murder Mile'。軽快でこれからの季節に最適なLiquid Drum 'n' Bassが収められたHugh Hardieの'Shadows and Silhouettes'など、素晴らしい作品がリリースされた2019年上半期でした。
Chase & Status - RTRN II JUNGLE
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S.P.Y. - Dubplate Style
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Lenzman - Bobby
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Prolix - Murder Mile
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Hugh Hardie - Shadows and Silhouettes
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