2020年上半期は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によりDrum 'n' Bassシーンも多大な影響を被り、多数のイベントが中止や延期を余儀なくされました。
音楽制作に於いて検疫期間(Quarantine)は必ずしも不利益ばかりではないとインタビュー等で見解を述べるプロデューサーも見られますが、今後もイベントの開催が行えない状態が長引けば当然レーベル運営にも影響が及び制作面にも負の影響をもたらすことは想像に難くなく、20世紀前半に起こった世界恐慌以来と言われる世界的な大不況が想定されている今、市場規模の小さいDrum 'n' Bassシーンは小さな打撃も深刻化することが予想されます。
こうした悲観的な観測も出来てしまう現状ですがこの半年間に素晴らしいDrum 'n' Bassアルバムがリリースされたことに間違いはなく、我々の不安を和らげる力を持った作品が揃っています。本記事ではこうしたアルバムの中から特にお勧め出来る5枚を選定しました。もし聴き逃している作品がありましたらこの機会に耳を傾けてみては如何でしょうか。
なお、同趣旨の過去記事はこちらからご覧頂けますので是非お役立て下さい。
今年上半期はMetrikが'Life/Thrills'から約4年振りとなるアルバム'Ex Machina'をHospital Recordsからリリース。アルバムリリース前のシングル'Hackers', 'Gravity', 'We Are The Energy'を含む13曲収録の本作は壮大な空間表現が多数用いられるBreakとタイトなベースリフに焦点を合わせたDropという対比が顕著な楽曲が数多く収録されています。
多くのDrum 'n' Bassレーベルが「より過激に」「よりメロディックに」耳を引くため綺羅びやかなサウンドに傾倒する一方、Metalheadzは古典的なDrum 'n' Bassサウンドを重要視するプロデューサーを重用し我々にDrum 'n' Bassの出発点を忘れさせません。90年代前半のような純然さを保ちながら音響的には2020年に完全に適応したMakoの'Oeuvre'は変わり続けるものの中で変わらないものがある重要性を教えてくれます。
Makotoとの共作'Aquarian Dreams'から5年、久し振りにリリースされたA Sidesの新作'50 Shades Of A'は前作とは趣向を変え荒々しいReeseベースを主体とした楽曲を主体としています。流麗なLiquid Drum 'n' BassはPrinciples, Ashbyの2曲に留め、古典的で彼らしいスタイルへと回帰したアルバムです。
Metrik - Ex Machina
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Mako - Oeuvre
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A Sides - 50 Shades Of A
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Philth - Moments In Time Part 2
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Macky Gee - It's A Gee Thing!
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